【リスニング勉強方法】コツを掴んで英語を聞き取ろう!
英語を勉強しているとき、学校や資格のテストをうけるとき、必ず付きまとってくるのが「リスニング」です。
単語や文法は覚えれば点が取れます。ですが、リスニングは
「どうやっても上達しない」
「そもそも勉強方法がよくわからない」
という方が多いと思います。
筆者は実は小・中は学校すら行かず家でごろごろ過ごしていましたが、その後の試験や留学先で「英語が聞き取れない」と困ったことはありません。幼いころからばりばり教育されたわけでもない、普通の日本の家庭で育ちました。
「家で好き放題やっていた方法が、実はリスニングの勉強にとても役立っていた」ことに最近気づいたので、私の体験談や調べたことをまとめて紹介したいと思います。
今、困って困ってネットで調べてきたあなたにも、「なーんだ、カンタンじゃん」と思ってもらえると思います。
そもそも、「聞き取れない」とはどういうことか
「リスニング苦手なんだよねー、英語が聞き取れなくてさあ」
という人の原因というのは、大きく分けて2つあります。
- 音が取れない
- 意味が分からない
これだけではちょっとわかりづらいと思うので、詳しく説明します。まずはここで言う「聞き取れる」の定義を頭に入れておいてください。
「聞き取れる」というのは「音を取って」「意味の分かるものとして認識する」ということです。
例えば、以下の文章をテキスト無しで「聞いている」と思って読んでください。
ニホンコクミンは セイギとチツジョをキチョウとする コクサイヘイワを セイジツにキキュウし……
上の文章は日本語なので、「同じように繰り返して言ってみて」とか「漢字は使わなくていいから書き起こせ」と言われたら、たいていの日本人はできるはずです。これが「音を取れる」状態です。
次に、あなたはこれを「意味の分かるものとして認識する」必要があります。例えば文章内の「キキュウ」の意味は分かりますか?
「ああ、『希求』求めることね」と分かる場合は「意味の分かるものとして認識する」ができています。聞こえた瞬間、「キキュー? なにそれ?」となる場合はできていません。意味不明の文字列が頭に浮かぶだけになってしまいます。
母語では何気なく行っているこの2つの処理(「音を取って」「意味の分かるものとして認識する」)を、別の言語(英語)でも行う必要があるんです。
さて、あなたが英語を聞いたときに「できない」のはどちらでしょう? それによって、勉強するポイントが変わってきます。
「意味の分かるものとして認識できない」状態
先に「音はとれても意味が分からない」状態についてです。
これは結構もったいないことです。
あなたはせっかく聞こえているのに、単語や文法の知識がないために困っている状態です。
なので、単語を暗記したり、文法のルールを把握することに努めてください。本をたくさん読んで(多読)、文章の前後で意味を推測することに慣れるのもいいでしょう。
多読についてはこちらの記事を参考にしてください。
「音を取れない」状態
おそらく、コッチができないという人の方が多いと思います。もっと掘り下げて、「なぜ音が取れないのか」を考えてみましょう。
自分の知っている発音と違うから
そもそも「その単語の発音を間違って覚えている」というのは除きます。正しい発音を覚えてください。
「自分の知っている発音」は確かに正しいのに、「文章内ではなんか違う音に聞こえる」現象が英語では起こります。どういうことかというと、例えば以下の文章があったとします。
Give me a break.
人がこれを言うとき、単語ひとつひとつ区切って「ギブ・ミー・ア・ブレイク」と言ってくれるでしょうか?
残念ながら「Give me」は「ギミー」に聞こえるでしょう。サーっと繋げて発音してしまうんです。これをリエゾンとかリンキングとかいいます。日本語の、とくに標準語ではあまりリンキングは使われません。だから慣れなくて多くの日本人が困っちゃうんです。
「つながる音」の他に、「消える音」というのもあります。さっきの例で言うと「ブレイク」の「ク」は実際ほぼ聞こえません。
「ギミーアブレイッ」みたいなものが「Give me a break.」だと分かるように、あとで説明するような訓練をする必要があります。
頭の中で訳している間に時間が経ってしまうから
いわゆる「英語は英語で理解する」ということが必要となります。
どんなに長い文章でも、実際の会話では「区切りのいいところで一時停止」なんてしてくれません。こっちが日本語に訳すのなんて待ってくれないんです。
たとえば、このような文章が聞こえたとします。
I have nothing to do for the moment.
これを普通に訳すと「さしあたり、今はすることがない」となります。ただ、会話中の場合はそんなにきれいに訳していては間に合いません。
これに関しては「訳さないようにする」練習が必要です。
それぞれの勉強方法
「音はとれても意味が分からない」状態の方は、まずは多くの単語や文法を頭に叩き込んでください。
音がつながったり、消えたりするので「実はカンタンな英文でも何言ってるか分からない」場合はとにかく慣れが必要です。 最初は意味不明の音の連続も、慣れてくると「こういう音が聞こえてるけど、実際はあの単語なんだな」というのが分かるようになります。
訳していては間に合わないので「訳さないようにする」というのも、訓練して慣れてください。
ここで言う「慣れる」というのは、いわゆる「聞き流し」でぼけっと聞いているだけではだめです。それはもっともっと初心者の方のための英語の入り口です。
では、どのように訓練していけばいいのでしょうか? 私が実践していた方法を紹介します。
「自分の知っている発音と違う」から困っている場合は「練習A」を、「和訳してしまって間に合わない」という場合は「練習B」を試してみてください。
練習A「自分の知っている発音と違う」場合
まずは、イメージが湧きやすいように私がしていたことをざっと書いてみました(興味が無ければ区切り線のところまで飛ばして大丈夫です)
私はあるアニメが大好きで、当時英語で放送していたものもすべて録画していました。
テレビを見ていないときは音声だけでも聞いていたかったので、音声だけを抜いたものも作り、聞くことも多かったです。
「こんな風に英語でセリフが言えたら、カッコイイなあ」と思い、セリフの後に続けて同じように言ってあそぶこともありました。
うまく繰り返せないことも多く、「メモをとろう」と思いました。正しいスペルだとか、単語だとかはわからないのでカタカナや「▼↑↓」などの記号を駆使して書きとっていたら謎の文字の羅列ができました。「チャッ チョッ ミー」とか、意味不明すぎて辞書も引けません。困った。
いくら頑張っても分からないものは分からないので、ネットで英語の得意な人に頼んで正しいスクリプトを書いてもらいました。「チャッ チョッ ミー」は「Just trust me.」でした。ミーしか合ってないですね。
でもここで、「Just」や「trust」の「st」はほぼ聞こえないものなのだなあというのを、ふわっと知りました。そんな発見が嬉しくて、家にいるときはほぼずっとやっていました。
ここで私が繰り返しやっていたのは
- 内容を知っている、好きな素材を使う
- 映像無しで音だけに集中する
- 聞こえたものを繰り返す
- 聞こえたものを書き起こす
- 正解のテキストのチェック
です。
暇だったので、毎日のように延々やっていました。そのおかげか、リスニングで困ったという記憶はありません。むしろ、めっちゃ点くれてお得なパートだなと思ってました。
さて、ひとつひとつ見てみましょう。
1. 内容を知っている、好きな素材を使う
何事も繰り返して訓練することが大切です。
好きでもない物語を延々聞いているのは退屈だと思うので、好きなものをあなたの「教材」にしてください。
全体の流れが分かっているものであれば「意味の推測」もできるので「聞くこと」だけに集中して練習ができます。
アニメでもホームドラマでも、英語ならなんでもいいです。
ただし、ちょっと聞いてみてサッパリ何も聞き取れないものは「聞き流し」ているだけになってしまうので、「頑張ればいけるかな?」というものを選んでください。慣れてきたら少しずつレベルを上げましょう。
2. 映像無しで音だけに集中する
映像を無くすことで、音だけに集中できます。
そして、一言一言で一時停止したりせず、まずはじっくり聞いてください。くれぐれも聞き流しにならないようにしてください。
※リスニング教材として売られているものの中には、「英語音読→日本語音読」のように日本語が入っているものもありますが、それだと無意識のうちに日本語しか聞かなくなってしまうので意味がありません。英語のみのものを使ってください。
3. 聞こえたものを繰り返す
影のように、後からついていくように、同じ言葉を発するので「シャドーイング」と呼ばれる練習方法です。
「同じように言えない」=「音が取れていない」ということがわかります。
音声に合わせて自分も延々発声しているわけですから、結構疲れます。
本格的にやろうとすると、自分の声を録音してチェックするとか結構大変ですが慣れてくると楽しくなってきます。
4. 聞こえたものを書き起こす
これはディクテーションと呼ばれているそうです。こんな名前の付いた練習方法だということは、今回色々調べていて初めて知りました。
先ほど紹介した「シャドーイング」は、音が取れているかを自分の声で確認するのに対し、「ディクテーション」は文字で確認します。
私はカタカナで呪文のような文書を作ってしまっていましたが、本来は英語で綺麗に書いていくものだそうです。
でも、個人的には「このスペルどうだっけ」とか「文法が……」とか何も気にせずカタカナで書き殴っていたのはいい経験だったと思っています。
正しく聞き取れているかどうかは置いといて、「今、自分にはどう聞こえているのか」が「英語よりも見慣れたカタカナ」になることではっきりと分かるからです。
これも結構おもしろいので、ぜひやってみてください。
5. 正解のテキストのチェック
答え合わせです。
「分からないにゃあ( ՞ਊ ՞)」で終わるのではなく、文字で正解を確認してください。
映画のDVDなら、英語の字幕を表示できるものも多いと思います。なければネットで「○○(タイトル)」「スクリプト」のように調べれば、今の時代すぐ見つかります。
「このワケの分からない音は、この単語だったのか」のような気付きがあるはずです。
これらを繰り返しやっていれば、「音を取れない」ということが少しずつ減ってくるはずです。
使う音声の長さとしては5分くらいの短いもので構いません。短くても、同じものを繰り返し練習し確実に自分のものにすることが大切です。
練習B「頭の中で訳している間に時間が経ってしまう」場合
これは一言で言えば「訳すな!」なのですが、いきなりそんなことを言われてもどうしたらいいか分からないと思います。
日本語訳ではなく、イメージが浮かぶようにする
最終的には、「I have nothing to do for the moment.」と聞こえたら、日本語訳を考えるのではなく、なんだか暇そうな人をイメージするのを目指します。「for the moment」は「さしあたり」で……とか考えません。
新たに単語や熟語を覚えるときは、必ず映像とセットで覚えるようにしてください。
私は、自分でイラストを描くことが多かったです。そうして覚えた単語を見たり聞いたりしたときは今でも、訳よりもあの自分のヘタクソな絵が浮かびます。
スラッシュリーディングを取り入れる
「いや、日本人なんだから日本語が浮かんでもいいじゃん」という方もいると思います。個人的には、最初はそれでもいいと思っています。
ただ、その場合先ほどの
I have nothing to do for the moment.
は
私・持って・ない・すること・さしあたって
のように頭に入れる必要があります。
日本語に訳している人というのは、この「私・持って・ない・すること・さしあたって」をきれいに並べ替えようとしています。英語と日本語は語順が違うので、やってしまうのは分かるんですけどね。
ちょっとリーディングの話になりますが、たとえば教科書などにさっきの文章が書いてあったら、
I / have / nothing / to do / for the moment.
のようにスラッシュを書き込んでください。書き込む位置は、自分にとってわかりやすいところでいいです(私は前置詞や接続詞、to不定詞の前などで切るのが好きでした)
英文を見たらとにかくスラッシュを書き込むクセをつけましょう。そして、スラッシュの中だけで意味を取りながら読み進めてください。
徐々に、綺麗な日本語訳を作らなくても即座に意味を理解することができるようになってきます(そのうち物理的にスラッシュを書き込まなくてもできるようになります)
このように「英文を区切って読み、都度理解しながら読む」のを「スラッシュリーディング」と呼びます。
スラッシュリーディングを普段から取り入れていればリスニングでも役立ちます。日本語の語順にとらわれず、英文を文の先頭から理解する訓練ができているからです。
そして、「無意識の内にきれいな日本語をつくろうとして時間が経ち、追いつけない」ということがなくなります。
まとめ
リスニングができなくて困っている、という場合、闇雲に聞き流しなどをするのではなく、まずは「何ができなくて困っているのか」を把握して、それぞれに合った方法で勉強してみてください。
ざっくりまとめると、この図のようになります。あなたにぴったりの勉強はどれでしょう?
英語を聞き取れなかったときは、そもそもその単語を知らなかったから聞き取れなかったのか、知っていたが聞き取れなかったのかを最初に考えてみてください。
まずは単語や文法をたくさん覚える必要があるかもしれません。英語の音に慣れていなかったり、無意識のうちに訳そうとしているのかもしれません。
基本的に、「アニメ」っていうのはボソボソしゃべったりしないので練習におすすめです。
多読や精読も役に立つでしょう。
少しずつ練習して、「試験のリスニングってお得なパートだなあ」と思えるようになってくださいね。